感染症対策は何故難しいのか ? ⑤
更新日:2022年2月14日
目に見えない細菌のリスク
感染症対策が難しいのは細菌が目に見えない為危機管理が難しい事が第一に挙げられます。問題の発生の出発点は薬剤耐性菌であれウイルスであれ最初は僅かの数だと思われます。それが目に見えない所で増え続け人に害を及ぼすようになって初めて我々はその存在に気付くことが多いのです。例えば人の感覚でもある五感で気付くことが出来れば増殖前にある程度の防御が出来ると思いますが、五感の一つである臭いが有る場合そこに雑菌が多く居ると気付くくらいの事です。
有害な細菌と無害の細菌が簡単に見分けが出来ない
有害な細菌は実際の生活環境では多くの雑菌の中に存在していますので、それがそれが何処に居るか特定出来ないため対応が出来ません。また、そのため有害化無害かも判断が出来ないため、対応が出来ない事になります。
増殖前の数個の細菌は生活環境で殆ど評価が出来ない
有害な細菌でも数個の数が少ない場合は殆ど人には害を及ぼすことは少なく、増殖して数が多くなって人に害を及ぼすと言われております。例えば動物が大量に死亡したり、多くの人が死亡したりしない限り異変に気付くことはなく問題として取り扱われる事は無いと言う事になります。我々の生活環境で有害と思われる細菌やウイルスが増殖する前の数個の段階で多くの雑菌の中から見出し特定する事は殆ど不可能な事です。
感染症は人の手で解決した前例がない
感染症は過去に人の手で解決した前例がないため、人類の永遠の課題であると言われている。
参考までウイキペディアより抜粋した記事を下記に添付します。
世界の歴史において、特に後世に社会的、経済的、文化的に甚大な影響を与えた感染症に付いて記述する。医学は感染症の対策や治療の探求により発展してきた。感染症は、民族や文化の交流、ヨーロッパ世界の拡大、世界の一体化などによって規模が拡大していった。病原微生物ないし病原体(マイコプラズマやクラミジアといった細菌、スピロヘータ、リケッチア、ウイルス、真菌、原虫、寄生虫)が人や動物の体や体内に侵入し、定着・増殖して感染を起こすと組織を破壊したり、病原体が毒素を出したりして体に害を与えると、一定の潜伏期間を経った後に病気となる。これを感染症という。類義語として伝染病が有るが、これは伝染性を持つ感染症をさしている。また、伝染性を持つ感染症の流行を疫病(はやり病)と呼んでいる。
感染症の歴史は生物の出現とその進化の歴史と共にあり、有史以前から近代まで人の疾患の大きな部分を占めてきた。感染症や疫病に関する記録は、古代メソポタミア文明にあってはバビロニアの「ギルガメッシュ叙事詩」に既に四災厄の中の一つに数えられ、同時期のエジプトでもファラオの威光はは悪疫の年における疫病神に比較されている。中国にあっても、紀元前13世紀における甲骨文字の刻された考古資料からも疫病を占トする文言が確認されている。日本においては平安時代には疫病の収束を願う神事が全国で行われていた。災厄に対する人々の対応は、歴史的、地域的にさまざまであったが、その一方で、人々の行為、行動の背景となった疫病観、死生観、信仰、哲学、科学の発達などを考察することにより、人類の歴史や経済、社会の在り方への理解を深めることが出来る。
抗生物質の普及や予防接種の義務化、公衆衛生の改善などによって感染症を過去の脅威とみなす風潮も見られたが、耐性菌の拡大や経済のクローバルカによる新興感染症の出現など、一時の楽観を覆すような新たな状況が生じており、今なおその脅威は人類社会に大きな影を投げかけている。
過去の主な感染症の流行
感染症名 流行開始年 主な流行地 備考・影響
ペスト 541 欧州 一日に一万人以上死亡
ペスト(黒死病) 1347 欧州 ルネサンスの勃興
天然痘 1492 北米大陸 コロンブスの船が持ち込む
発疹チフス 1812 欧州 ナポレオンのロシア遠征失敗
コレラ 1817 全世界 下水道整備の契機に
結核 1820 欧州 産業革命後の停滞
スペイン風邪 1918 全世界 第一次世界大戦終結
黄熱病 1928 アフリカ 研究者野口英雄も病死
香港風邪 1968 全世界 発達した航空網により拡大
エイズ 1981 全世界 HIVウイルスによる
SARS 2002 中国など コロナウイルスの一種
新型インフルエンザ 2009 全世界 別名・豚インフルエンザ
MERS 2012 全世界 コロナウイルスの一種
エボラ出血熱 2014 アフリカ 致死率が極めて高い
新型コロナウイルス 2020 全世界 中国武漢から感染拡大
感染症対策がG7サミットで正式議題となる
感染症は特に病院において治療のために抗生物質を大量に使用するため、薬剤耐性菌が多く居る場所でもある。また病院は入院若しくは治療のために通院する人は一般に体力がない術後の人や、高齢者、乳幼児等免疫不全の人が多く、感染し易い状態にある事は否めない。病院は感染対策の専門の要員を配し十分管理はしているものの細菌等は目に見えないため危機管理が必ずしも十分でないため問題が発生する事が有る。
医療は治療に関する進歩は目覚ましいものが有るが、同時に感染等に関する原因評価技術の進歩している。例えば、遺伝子解析により感染経路を特定技術も確立しており、病院の責任が特定される事が容易になっている。既にドイツにおいては病院、医師、看護師等を対象とした訴訟が多発しており、病院の信頼の失墜に繋がるとして2015年のドイツエルマウでのG7サミットでメルケル首相が初めて正式議題として問題提起をした経緯がある。その後日本の伊勢志摩サミットでもドイツに続き、安倍首相が正式議題に取り上げている。病院において感染症患者が発生した場合、公表して大々的に対策を行う事は地域及び患者の不信感を招き病院経営に多大な影響を及ぼすため、極めて深刻な課題である。

